はじめに
飽和ポリエステル粉体塗装、「アルズコート」は、塩害、酸性環境、および温泉地帯による腐食から優れた保護を提供します。VOC(揮発性有機化合物)を含まず、環境に優しいこのコーティングは、耐久性と耐腐食性に優れており、多岐にわたる用途で利用されています。
熱可塑性樹脂の飽和ポリエステル樹脂は、加熱によって軟化し冷却によって硬化する性質を持つプラスチックの一種です。この特性により、アルズコートは形状を変更することが可能であり、そのリサイクル性が非常に高いという特徴があります。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の解説は以下のリンクから確認ができます。
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本稿では、耐久性の高さと環境に優しい飽和ポリエステル粉体塗装について詳しくご紹介します。塩害、酸性環境、温泉地帯特有の厳しい条件下でも、優れた腐食防止効果を発揮するこの塗装技術は、様々な分野での腐食対策として活躍しています。
次世代の塗装技術として注目される飽和ポリエステル粉体塗装の可能性を、具体的な用途と共に解説いたします。
飽和ポリエステルとは
「アルズコート」は変性された飽和ポリエステルですが、飽和ポリエステル樹脂自体はポリエチレンテレフタラート (PET) と同種の樹脂です。
PETといえば、ペットボトルをイメージできると思います。ペットボトルには、飲料水やジュース、お茶などが入っていることから、人体に影響のない安全性があることは言うまでもありません。
ペットボトルは、屋外で長期の期間放置していても、海に浮かべていても、良くも悪くもその形状を維持し、劣化せず、肉減りすることなく存在し続けます。このことから、飽和ポリエステルの耐久性や耐食性も理解ができます。
飽和ポリエステル粉体塗装についてのご質問等ありましたら、以下のリンクからお問合せ下さい。
「アルズコート」飽和ポリエステル樹脂粉体塗装
「アルズコート」の粉体塗料は、高機能ポリマーにより変性され、加工条件を緩和しています。
この粉体塗装は対象物を前加熱して、適切な温度で管理した後、静電塗装法または流動浸漬法により、被塗物が持っている熱で粉体塗料を溶かし、液状の膜を作ります。
液状の塗膜が固まる前に水冷をすることにより、超速乾(個体化)を可能にし、厚膜の塗膜形成と、金属との強固な密着を一度に得られる作業効率があります。
このプロセスでは、対象製品をまず加熱し、その表面に飽和ポリエステルの粉末を均一に散布します。加熱により粉末は軟化し、一時的に液状に変化します。その後、製品を冷却することで粉末が固化し、厚みのある均一で光沢のある仕上がりが得られます。
アルズコートの用途
アルズコートは、アルカリ性から酸性まで、幅広い腐蝕環境から金物の保護ができる耐食性と、美観性を兼ね備えた重防蝕コーティングです。
このコーティングは、様々な用途で適用することができます。
塩害対策
海岸地帯では、海水中に含まれる塩分が空気中に飛散し、建物や構造物に付着します。この塩分が建物や構造物の表面に蓄積されることで、塩害と呼ばれる現象が発生します。塩害によって、構造物の腐食や劣化が加速度的に進行します。
また局部的な腐食がある場合には、金属に穴が開くこともあり、建物や構造物の弱体化により寿命を縮めることがあります。
海岸地域では、金属や鋼製構造物の腐食対策が重要となります。アルズコートは、金属表面を耐食性塗膜が覆うことにより、塩害からの腐食環境を遮断し、長期にわたり構造物を保護します。
塩害対策の金物部品に最適な飽和ポリエステル粉体塗装については、以下のリンクから確認ができます。
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温泉地帯の腐食対策
温泉地帯では、温泉水に含まれる酸性物質や塩分が建物や構造物に付着し、腐食を引き起こします。温泉水は、地下深くから湧き出した地熱水が地殻変動などによって地表近くに上がってきたものであり、その成分は地域によって異なります。
一般的に、温泉水には酸性物質(硫酸、塩酸、炭酸、鉄酸など)や塩分(塩化物、硫酸塩、炭酸塩など)が含まれているため、金属材料に対して腐食を引き起こします。
温泉地帯では、建物や構造物の腐食対策が重要となります。アルズコートは、優れた耐酸性を有しており、温泉地帯の腐食対策に期待されています。
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火山地域の腐食対策
火山地域では、火山ガスに含まれる酸性物質や火山灰などが建物や構造物に付着し、腐食を引き起こすします。
火山ガスには酸性物質が含まれ、火山灰には、酸性物質や塩分が含まれていることがあり、これらが金属表面に付着することで腐食を引き起こします。
火山地域では、火山ガスや火山灰に含まれる微粒子が金属表面に付着することで、金属表面の摩耗を引き起こすことがあります。特に、火山灰は微細な硬質物質を含んでおり、金属表面に付着すると、表面に傷やキズを付けることがあり、金属の腐食や劣化を促進することがあります。
アルズコートは、三宅島沿岸で16年間の暴露試験に耐え、酸性環境に対する耐性と、耐摩耗性、耐久性で、火山地域での腐食対策に期待されています。
火山地帯や温泉地域の金物腐食対策に、飽和ポリエステル粉体塗装が最適の理由は、以下のリンクから確認ができます。
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医療器材
有機溶剤を使用しないこの環境に優しい技術は、医療機材やパーツに最適な選択肢です。
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まとめ
飽和ポリエステル粉体塗装は耐久性が高く、化学薬品や紫外線などにも耐性があります。
塗料を塗布する際に揮発性溶剤を使用しないため、有機溶剤を排出する必要がなく、環境に優しいコーティングです。
以上のように、飽和ポリエステル粉体塗装には、耐久性や環境に優しい性質、光沢、施工の簡便性など、様々なメリットがあります。
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